2005-01-01から1年間の記事一覧

石原莞爾

石原莞爾中将をみなさんはご存じですか。(彼の姓は「いしわら」と読むらしい) 私は、彼の書いた「最終戦争論」を読んで以来、きわめて興味深い存在だと考えていました。ドイツのナチス党のヒトラーを筆頭とする怪しい連中やイタリアのムッソリーニ元帥など…

幕末の宮廷

幕末に実際、朝廷で官人をしていた下橋敬長氏の口述をまとめた本。 絶版です。古本屋にもさっぱりありません。あきらめて図書館で借りました。 面白い本です。ある意味で生き証人の口述ですので、生資料に準じるとも言えるでしょう。学者もこの本を引用して…

随想:おごらぬものも久しからず

本を読んでいて「オヤジが某に『おごれるものも久しからず』と平家物語を教えたら息子が『おごらぬものも久しからず』と答えてぶん殴られた」なる記述があって大受けしたら、大受けした拍子に書名を忘れてしまった。 あんまり感銘(?)を受けると却って忘れ…

籤引き将軍足利義教

今谷明氏の本です。 氏の本といえば、「室町の王権」を大学時代読み、かなりの衝撃をうけました。 何しろ、足利義満が「簒奪」を企てていた、と言う衝撃的な内容だったからです。氏の主張の根幹である、歴史はまずは政治史、と言う部分には割り切れなさを感…

売春論 

風嬢に印税はやりたくない。そう思いつつ古本で手に取る。 酒井あゆみ、売春論、河出書房新社。 彼女の本は、「もともとそうだったひと」を「そうだった本人」が取材してかいてゆくというスタイル。 同工異曲のインタヴュー集がある。 注目点:酒井は文章が…

随想:退院とともに

かごから解き放たれた小鳥のごとく、遠く青空を飛んでみました。 しかし、空はただ青くて無限です。 小さなこの身にとっては。 …小人は閑居においては、やはり愚行しかしません。

随想:病室と監獄は学習室?

入院しました。とほほ。 そして、本が馬鹿のように読めます。 カイエ・ソバージュが全部読めてしまいました。法律書もグイグイいけます。 病室と監獄は学習室とは昔から言いますが実感します。 このままずっと居たい。 ただし食事がお粥でなければ(笑)。

権利のための闘争

岩波文庫です。はじめて読んだのはいつだっただろうか。大学生のはじめの頃だった気がする。法学部の友人、所謂後輩だが、大学に長々と居たし、付き合いが長くなると自分の何が先輩かなんかなんて訳が分らなくなるもので、彼から教えて貰った気がする。 「権…

新訳 星の王子さま

心を動かす度合いが強すぎると、却って感想が書けないことがあります。 その対象を客観視できないほど心を揺り動かされたと言うことでしょう。 幸いにして、思想書、宗教書やビジネス書でそういう思いをしたことはありません。法律書でももちろん。「いい本…

精神科医になる

中公新書である。 この本は色々な意味で、ある種の読者に対してのみ、やや「やばい」ところがある。 この本に出てくる「精神科医」は読者から見たとき「等身大」になる。 副題は「患者を<わかる>ということ」とかいてあるが、そのダイナミズムが逆転すれば…

随想:読書していられる日常

30過ぎてぷー同然(そのもの)の生活をしていて思うのは、「本を読むという時間は実は貴重である」と言う事実に他ならない。 分厚い文学書や哲学書に手が伸びなくなるのは当たり前の話で、就職してからの読書というのは、基本的に「娯楽」か「実用」なのであ…

日本語に主語はいらない

語学は苦手です。全く苦手意識から抜けられません。数学よりさらに苦手意識が強いです。数学は、苦手ながらも突き抜ければ、その問題だけは理解できるのですが、語学は(要するに英語)幾らやっても、いつまでも難しいです。 「勉強法が間違っている」「テー…

オブローモフ主義とは何か

とっくに絶版の岩波文庫なのですが、2002年度に一括重版したようで(岩波はごくわずかに需要のある「名作」っぽい作品を本格的に絶版する前に一括重版して備えておくことをするようです)大学時代にすでに絶版していてぼろぼろのカバーもない文庫を先輩…

キリスト教は邪教です!

講談社+α新書ってやつである。正直、はじめて読みます。友達が「これ面白いよ」、とプレゼントしてくれました。 著者は「F・W・ニーチェ」 に、ニーチェー?! 訳者は「適菜収」。失礼だが、 だれだそれ? 、が初めての感想。この人物がいかなる人かは正…

随想:本の馬鹿買い

決戦の日曜日も過ぎ、だらけた綾金庫裏耶は、ついに緊張の糸が切れ思うがままに本を買い始めたのだった。 "人類最古の哲学―カイエ・ソバージュ〈1〉" 中沢 新一; 単行本; ¥ 1,575 "熊から王へ―カイエ・ソバージュ〈2〉" 中沢 新一; 単行本; ¥ 1,680 "愛と…

セックスの邪魔をするやっかいな記憶たち

おひさしぶりの書き込みです。 非常に動揺する日々に、読みたい本、薦められて面白そうな本、何となく買ってきた本、いや、せっぱ詰まって読まなければならない(単に読むだけでなくTT)とか様々な本たちが机、枕元、本棚、パソコンのそばなどにいるわけで…

雑感:本は読むのだが・・・。

結構、実生活が仕事も含めて様々な理由でてんぱっていて、本をストレス解消に読んでも、それが感想に結びつく状況じゃない感じです。 そこで軽くマンガ紹介です。 ヒストリエ:寄生獣のあの人です。古典を踏まえた重厚なシナリオです。命に対する、冷めてい…

雑感:最近本が読めない

いや、読み始めてるんです。 でも、読破せずに積ん読や途中読みが増えてるんです。 せっかくお金を払って本を買うわけだから、それと見定めた本は読んでしまった方がいいとは分っているのだが、「これおもしろそう」と思うと浮気。本だからいいものの、これ…

法律における理窟と人情

民法学者、我妻榮大先生の講演録です。 でも、なぜこの1955年に第1刷の本を、古本で買わなかったのか? 答えは衝動買いしたからです。給料前なのに困ったものだ。 内容は2本の講演録で、一つは表題通りの日本学術会議の公開講演です。もう一つは税務講…

神聖ローマ帝国

この本は、神聖ローマ帝国という何とも言えないよく分らない国を概説してくれる本だと思って買いました。だって題名が神聖ローマ帝国だし。 さて、読み始めてみると、確かに西ローマ帝国の帝位がカール大帝に戴冠されるところから話が始まるのですが、著者の…

安心のファシズム(斉藤 貴男 著)岩波新書(新赤版)

この新書について色々書こうと思っていたのですが、どうも思念が空回りしましたので抛擲します。 ひらがなの「さいとう・たかを」氏と本書の著者の名前が一致するのは、危険な陰謀の発生プロセスの緊迫ぶりがにています。 「ひらがな」の方は比類なき腕前で…

法律を読む技術・学ぶ技術(吉田 利宏)ダイヤモンド社

これは私が「深い穴」に落として失った本です(TT) この事件のせいで、やる気を大量喪失して茫然自失とする日々。 今日本屋へ行ったら、偶然同じ本が置いてある。 ここで引いたら、勝負で言うと負けなのか、ここで買ったら、著者との戦いでは一敗地にまみ…

息抜き 本を失うときの悲しみ

大切な本、やっと手に入り、案に違わず、読むことができたことに深い喜びを感じるような本。 そして、仕事に大切な情報や考え方の固まりの本。 本の値段。 発行部数・・・ 色々な要素で、その本がどれだけ大切かは分る。 ある程度大切な本を不注意でとても情…

ピープス氏の秘められた日記(臼田 昭 著)岩波新書(黄版)

岩波新書。それは知ったかぶりエセ教養青年の登竜門。これを読めば読むほど、教養主義の泥沼に引き込まれる危険文書。<--偏見 …しかし、黄版は旧赤、青版に比べれば、かなり危険度が下がったように感じます。「面白い読み物」みたいなものが多く、イズムと…

論語物語(下村 湖人 著)講談社学術文庫

またまた講談社学術文庫である。 この本は昔角川文庫に入っていて、内容は読み合わせてみたが特に変わったところを見つけることはできなかった。旧字体から新字体に変わったところくらいだ。 他は、解説が付いたことか。 この本は一体、どういうジャンルなの…

雑想:金はなくとも本は買う。それが斜陽なる「教養」への愛

金はなくとも本は買う。 私は本当に金が一文もない時以外は、ついつい本を買ってしまう。買いに行って予定外の本を大概引っかける。気に入ったらもうダメなのだ。 特に危ないのは、銀行から金をおろして、ふらりと本屋に入った時などだ。大体お金を手に入れ…

官職要解(和田 英松 著 所 功 編)講談社学術文庫 

さて、また講談社学術文庫である。 この本、ひたすら官職について解説がしてあるのである。それも、律令、幕府、僧職、神職に至るまでもう満載である。 この本が一時期愛読書だった頃があり、それを知り合いの歴史学の院生に話すと「変人」とのことであった…

平安の春(角田 文衛 著)講談社学術文庫

講談社学術文庫は玉石混淆なのだが(まあそれはどんなシリーズにも言えることで意味はない)これでなくては、と言うものがままある。値段も、ライトノベル2から3冊分でこんなスバラシイ本が!と言うお得感も満点。当たりに当たれば意外と安いのだ。これは…

説教 小栗判官 (近藤ようこ 著) ちくま文庫

ちくま文庫も、また品揃えがよい。値段が高めなのもまあ許せてしまう。(財布がそれを客観的に許すかどうかはまた別だ。) マンガ文庫も充実しており、水木しげる、杉浦日向子などがスバラシイ作品を提供している。エコノミーな水木フリークはまず、ちくま文…

役人学三則(末弘 厳太郎 著  佐高 信 編)岩波現代文庫

岩波現代文庫と言うのも前記の平凡社ライブラリーと並んで、実に教養主義の虫を刺激するナイスな品揃えである。ただ、いささか岩波文庫と比べると値段は高い。やはりマニアックな品揃えからくる刷り数が少ないのだろうか。 私は好きである。 さて、本書は大…