売春論
風嬢に印税はやりたくない。そう思いつつ古本で手に取る。
酒井あゆみ、売春論、河出書房新社。
彼女の本は、「もともとそうだったひと」を「そうだった本人」が取材してかいてゆくというスタイル。
同工異曲のインタヴュー集がある。
注目点:酒井は文章が巧い。しかも技巧的なうまさではなく、事象に対する表現の当てはめが巧く、つまり表現が手堅い。しかし、自分のことを書くときにやや表現が乱れたり、「人の心を持って、震える手で書いている感」がよく出ている。取り乱し方もまた技。
売春とは何かの謎が、従って深まらない。なぜなら、インタヴューするお嬢さんたちの一番心が痛そうな部分にふれるとそっと引く。ここを演出でもいいからでかでか書けば・・・ここで大暴露が!とは酒井は決してやらない。境界線で相手の言いなりになる。
ぬるい秘宝探検本にあえてなりすまそうとする。
だが、これでいい。心も体もそれなりの覚悟のもとに傷つき悩んでいる彼女たちは鼻息荒く待ってる連中のネタになる運命なのか。
酒井の企画は当たっている。それでいい気がする。彼女は何かにたどり着く。私は古本で彼女の作品を追い
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東京夜の駆け込み寺―体だけでなく、自分まで売っていませんか? (幻冬舎アウトロー文庫)
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