官職要解(和田 英松 著 所 功 編)講談社学術文庫 

 さて、また講談社学術文庫である。
 
 この本、ひたすら官職について解説がしてあるのである。それも、律令、幕府、僧職、神職に至るまでもう満載である。

 この本が一時期愛読書だった頃があり、それを知り合いの歴史学の院生に話すと「変人」とのことであった。

 参議の別名が「宰相」で、大納言が「亜相」、中納言が「黄門」だとかが分るのである。そんなこと知っている意味はきっと一部の好事家以外何の意味もないだろう。だが、「ふーん面白い」となるのである。

 太政大臣職掌がない、だとか左大臣が欠席した時は右大臣が太政官の事務を執る、だとかもわかる。
 
 鎌倉幕府の職制は、摂家の家政機構である政所を模範において、随時拡張していったものだ、と言うことも書いてある。

 少納言と侍従を兼帯して司っていた事務が、蔵人に仕事の実質が移っていったこととかも書いてある。

 …この本、日本史や前近代の日本文学をやる人には、所謂基本書の一つなのだそうだが、私はそういう認識はなく、「雑学豆本」の感覚でなめるように何度も読んで「ああ、太政大臣なりてー」とか妄想していた。
 全くダメな読み方である。
 でも面白いですよ。日本史が好きな人なら絶対好きになる本…とは言えないかも知れないけど、やっぱり興味深い本には違いありますまい。

 著者の和田英松先生はものすごい量の文献を読みこなしたようで、その官職の由来や意味や変遷を、さっと文献を引用して根拠を導き出してます。
 もうその量は半端じゃないです。

 この大学者は入門者の手引きとしてこの本を企画したらしいのですが、私は門の前をぐるぐる回ってるだけです。
 でも楽しければいいか。
 
 そこらのライトノベルよりもよっぽど(以下略

新訂 官職要解 (講談社学術文庫)

新訂 官職要解 (講談社学術文庫)