ラブロマ

 このコミックはなかなかにノスタルジックで癒されます。
 そして、コミュニケーションの対立の統一と闘争が非常に巧く描写されており、うならされます。ギャグは通俗的(記号文法的とも言える)で絵柄もソフトなのですが、よりよきコミュニケーションを求め合う個性と言う、直球の人生論マンガです。
 5巻がでて終わりましたが、禁欲的というか、もう少し長目に書いても十分やれるポテンシャルを感じました。魅力的なキャラクターも多く、著者の作劇能力の高さを現していると思います。
 一時期はやりましたが、この作品はブームの後も問題作であり続けると思います。中頃は「普通の恋愛マンガ」にしてゆくのかな?と思いましたが、たたみ方はやはり「ラブロマ」でした。

 愛する人と文通したいですか?(笑)
 僕はしたいです。でももう世間でははやらないと思います。ピコピコとメールを短い言葉で打ち合うのでしょう。
 恋愛においては通常、記号的な感情確認に言語が終始するから、メールのような短い文章の断片は恋愛的なる言語によく附合します。性的な情動が、行動の基本になっているから当然と言えるでしょう。
 『情動の重力』に抗して、『頭で恋愛する』、このあまりに古典的な恋愛のあり方は果たして復権するのでしょうか?

ラブロマ(5) <完> (アフタヌーンKC)

ラブロマ(5) <完> (アフタヌーンKC)